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津波災害

北川流域周辺は、これまでに度々津波浸水被害に見舞われており、元禄地震(1703年)、大正関東地震(1923年)で大きな被害が発生したと記録されている。元禄地震(1703年)は、隣接する伊東大川流域の現南伊東駅付近まで到達したとされており、推察される津波高は17m以上ともいわれている。

 伊東市に被害をもたらした地震津波
表4-2 伊東市に被害をもたらした地震津波

 北川流域周辺の津波被害の痕跡
図4-1 北川流域周辺の津波被害の痕跡

大正関東地震による津波被害

1923年(大正十二)9月1日、関東地方南部を襲った大地震により、未曾有の大災害がもたらされた。地震発生後数分から数十分のうちに大津波が相模湾岸と伊豆諸島に押し寄せた。伊東市街では、大正の関東地震において震後5分ほどで津波が来襲し、全壊219戸、半壊392戸、流出204戸の被害を受け、79名の死者、30名の行方不明者を出しており、伊豆半島東岸では最も被害が大きいものであった。

 大正関東地震による被害(旧伊東町)
表4-3 大正関東地震による被害(旧伊東町)

津波対策

想定される津波被害(静岡県第4次地震被害想定)

① 想定される津波

静岡県では、東日本大震災をはじめとする地震被害の教訓や蓄積された科学的知見を踏まえ、複数の地震タイプを想定した場合の震度分布や津波高、浸水域等の自然現象の想定結果と、その地震・津波による人的被害、物的被害の想定結果が「静岡県第4次地震被害想定」として公表されている。当該資料では、レベル1、及びレベル2の二つのレベルの地震・津波を想定の対象として、地震タイプ別に想定される津波高が表4-5のとおり示されている。このうち、対象流域が位置する伊東市に到来する津波高は、レベル1津波については、相模トラフを震源とする大正型関東地震(伊東市での最大津波高9m)が、レベル2津波については、相模トラフを震源とする最大クラスの地震(伊東市での最大津波高 14m)が最大と想定されている。

 
静岡県第4次地震被害想定で示される地震・津波の想定

② 浸水被害想定

「静岡県第4次地震被害想定」で公表されている想定地震被害のうち、対象流域が位置する伊東市の到来津波高がレベル区分ごとに最大となる、相模トラフを震源とする大正型関東地震(レベル1)、及び相模トラフを震源とする最大クラスの地震(レベル2)による津波の想定は表4-6に示すとおりである。

 津波の想定
津波の想定

必要堤防高

静岡県では、「静岡県地震・津波対策 アクションプログラム 2013」で、防潮堤など津波を防ぐ施設は、レベル1の津波を対象に、地域の合意形成に基づきながら対策を進めていくとしている。
北川河口部周辺地域では、「静岡県第4次地震被害想定」に示される大正型関東地震(レベル1)の津波高を対象としており、必要堤防高はT.P.+7.5mとなっている。

津波対策の現状

北川河口部周辺の現況高は表4-7、及び図4-6に示すとおりであり、レベル1対応必要堤防高を下回っている。

 北川河口周辺の現況高
図4-6 北川河口周辺の現況高

津波対策地区協議会

熱海土木事務所と伊東市主催により、今後の津波対策について地域住民と話し合う「津波対策地区協議会」が開催され(平成26~28年度)、協議の結果を踏まえ、「津波対策の基本方針」が策定された。
「伊東市湯川地区における津波対策の方針」(平成29年11月)では、観光面への配慮から、津波を防ぐための新たな施設整備や既存施設のかさ上げは当面の間行わないとする方針が、地域の合意形成を経て策定されている。

 伊東市湯川地区における津波対策の方針(平成29年11月、静岡県・伊東市)
伊東市湯川地区における津波対策の方針(平成29年11月、静岡県・伊東市)