宇久須川水系

宇久須川,大久須川,赤川

TOP自然 > 河川環境

河川環境

流況については、現在、継続的な流量観測が行われていないため不明であるが、これまでに大きな渇水被害は発生していない。
水質については、環境基準の類型指定は行われていないが、西伊豆町ではBOD 値(生物化学的酸素要求量)10 mg/ℓを基準値として設定している。宇久須川では河口付近において河川水質調査が実施されており、近年のBOD 値は概ね1mg/ℓで推移し、環境基準のAA 類型相当である。
支川の赤川では、流水に含まれるアルミニウム等の影響により水質は酸性を示し、宇久須川の合流点において流水が白濁する現象が生じるが、混合物(水酸化アルミニウム)の沈殿や大久須川の合流等による希釈により、水質調査地点である河口部における影響は確認されていない。
宇久須川水系における生活排水対策としては、宇久須川水系では公共下水道による整備は行われておらず、西伊豆町が定める「生活排水処理基本計画」に基づく合併処理浄化槽の普及・促進が図られており、平成27 年度末時点での整備率は28.0%となっている。
河道の状況については、宇久須川上流部では河床が主に巨礫や岩で構成され、早瀬と淵が連続する。宇久須川中流部及び大久須川では、河床は砂礫が主であり、流路が蛇行して流れ、多様な流れが見られる。宇久須川下流部は、河床は砂礫、細砂で構成され、平瀬を中心とした流れで水際部にはヨシ等の抽水植物が見られる。赤川は主に礫を中心とした河床であり、瀬や淵が見られる。
宇久須川水系では、上流域から河口域にかけてそれぞれの生息環境に応じた魚介類が確認されている。河口部の感潮区間では特に多種の魚類が確認されており、重要種としては、ニホンウナギ、アユカケやイッセンヨウジが確認され、テナガエビ類、モクズガニ等の底生動物も数多く見られる。中流部では、アユやボウズハゼ、スミウキゴリ、ヨシノボリ類等の回遊魚のほか、ヤマトヌマエビ等の底生動物も確認されている。また、上流では、ルリヨシノボリなどが確認されている。
植生は、下流部の河道内を中心にススキ、ヤナギタデ、ヨシ、ツルヨシなどのほか、外来種であるコセンダングサやオオオナモミなどの草本植物群落が確認され、中流から上流部の山地部では河川周辺にスギ・ヒノキ植林が分布し、その中にケヤキ群落やタブノキ群落等の広葉樹林が点在している。また、上流部では貴重種であるエビネ、シランが確認されている。
河道内には、取水堰などの横断工作物が存在し、上流部には土石流による災害を防止する砂防堰堤が設置されている。これらの施設周辺は淵等の形成が見られるなど生物にとっての良好な生息環境となっている反面、魚道がなく河川における上下流の連続性の障害となる施設も見られる。