湯日川水系

湯日川

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基本情報

水系名

湯日川水系(ゆいがわすいけい)

河川ごとの紹介

湯日川(ゆいがわ)
[延長]15,860m
[起点]静岡県島田市湯日字吹木4274地先の第17号落差工上流端
[終点]海に至る

河川及び流域の概要

湯(ゆ)日(い)川(がわ)は静岡県島田市(旧 榛原(はいばら)郡金谷(かなや)町)の牧之原台地に源を発し、湯(ゆ)日(い)谷(や)川、長池(ながいけ)川、沢(さわ)川、清水(しみず)川、出(で)水(い)川、といった準用河川と合流しながら、台地の合間の谷底平野を東向きに流れ、大井川の氾濫平野に入り南東に向きを変え、榛原郡吉田町の市街地を流下し吉田漁港を介して駿河湾へ注ぐ、流域面積約25.8km2、幹川流路延長約15.9kmの二級河川である。
流域の地形は、上流部の大部分は台地であり、中流部から下流部にかけて大井川の扇状地からなる低地が広がっている。富士山静岡空港周辺から吉田町の能満寺(のうまんじ)公園・展望台小山(こやま)城付近にかけては、「坂部原(さかべはら)の活褶曲(かつしゅうきょく)」と呼ばれる特徴的な地形が形成されている。この地形の先端部の吉田町神戸(かんど)付近では、北東-南西に軸を持った「下撓曲(かとうきょく)(下方にたわんでいること)」と呼ばれる地形となっており、川沿いまで張り出している。
流域の地質は、上流部は後期漸新世から中期中新世前期の海成層泥岩、泥岩砂岩互層、海成層砂岩泥岩互層、中流部は段丘堆積物、扇状地・崖錐堆積、下流部は海岸・砂丘堆積物により形成されている。
河床勾配は、上流部は1/100~1/50程度、中流部は1/300~1/100程度、下流部は1/600~1/430程度となっている。また、上流部は概ね掘込河道、中流部において掘込河道から徐々に築堤河道となり、下流部は築堤河道となっている。
流域の気候は、平均気温は14.8℃(気象庁菊川牧之原観測所 昭和54年~平成28年)と全国平均14.1℃に比べ温暖で、夏季は高温多湿、冬季は温暖少雨の表日本気候(太平洋型気候区)に属している。また、年平均降水量は2,212mm(気象庁菊川牧之原観測所 昭和54年~平成28年)であり、全国平均1,718mmを上回る。
流域の土地利用(平成26年)は、上流部の台地の多くが茶畑、中流部は水田・畑として利用されており、下流部は幹線道路に沿って市街化が進んでおり、山地が約12%、水田が約17%、畑・原野が約35%、市街地が約35%である。市街地は昭和50年代には2割程度であったが、現在では3割を超えている。下流域は、大井川の伏流水を利用した養鰻業が盛んであったが、近年は交通網の整備などに伴い市街化されている。さらに、上流域の旧金谷中学校跡地等では空港周辺地域の発展に資する土地利用の検討も進められている。
流域の人口は、吉田町では近年、人口・世帯数ともに増加傾向である。吉田町内の交通網の発達や流域に隣接する地域への工場の立地などが要因と考えられる。島田市(初倉地区、金谷地区)では、人口は減少傾向、世帯数は微増傾向である。
吉田町の就業者の割合は、第1次産業約4%、第2次産業及び第3次産業はそれぞれ約5割程度であり、過去20年間で第1次産業は約5%減少、第2次産業は横ばい、第3次産業が約10%増加している。平成22年度国勢調査によると、吉田町において、製造業への就業者が就労人口の40%と最も多い。農業・漁業等の一次産業への就業者は全体の4%程度と少ない。
島田市の就業者の割合は、第1次産業約7%、第2次産業約40%、第3次産業約55%であり、過去20年間で第1次産業は約5%減少、第2次産業は約7%減少、第3次産業は約10%増加している。また、平成22年度国勢調査によると、島田市において、製造業への就業者が就労人口の29%と最も多い。
流域を含む静岡県中西部では、陸・海・空の交通ネットワークづくりが進められている。特に空の交通拠点として富士山静岡空港が平成21年6月に開港し、交通ネットワークの要衝として、道路網が整備されるなど当地域の利便性が向上している。
陸の主な交通網として、流域の中央に東名高速道路が通過し、吉田インターチェンジが流域内に位置する。下流域では、国道150号および国道150号バイパスが北東から南西に向けて流域を横断している。富士山静岡空港へは、吉田インターチェンジより県道島田吉田線、県道住吉金谷線、県道静岡空港線を経由するルートで接続するなど幹線道路のネットワークが構築された。
湯日川流域への入植は縄文時代に遡ると言われている。流域に隣接する大井川の氾濫に悩まされながらも、飛鳥時代には条里制による農地整備や江戸時代には新田開発などを行う一方で、舟運や漁業(養鰻業)も営まれてきた。日本書紀において、島田市阪本付近より巨木を切り出し近畿方面に送られたという記述が見られ、現在の湯日川を利用したと考えられている。律令時代においては初倉・色尾付近には国司参内のための街道や宿場・馬屋があったと考えられている。鎌倉時代に日蓮により能満寺が建立、戦国時代に遠江をおさえる第一歩として武田氏により小山城が築城された。
湯日川流域を含む周辺には、国指定文化財の能満寺のソテツ、吉田町指定文化財の小山城跡などの29の文化財(国指定1、吉田町指定22、島田市指定6)が存在する。流域を含む周辺には、小山城跡など、地域の歴史や文化を伝える史跡、工芸が多い。

河川の整備の基本となるべき事項

1.基本高水及びその河道への配分に関する事項

基本高水のピーク流量は、既往の洪水や河川の規模、流域内の資産・人口等を踏まえ、県内の他河川とのバランスを考慮し、年超過確率1/50規模の降雨による洪水を対象として、基準地点千草(ちぐさ)橋において290m3/sとし、これを河道へ配分する。

基本高水のピーク流量等一覧表
河川名 基準地点 基本高水のピーク流量(m3/s) 河道への配分流量(m3/s)
湯日川 千草橋 290 290

2.主要な地点における計画高水流量に関する事項

計画高水流量は、基準地点千草橋において基本高水のピーク流量と同じ290m3/s、河口において360m3/sとする。

 湯日川計画高水流量配分図

湯日川計画高水流量配分図(出典:湯日川水系基本方針本文(案))

3.主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項

主要な地点における計画高水位と計画横断形に係る概ねの川幅は、以下のとおりとする。

主要な地点における計画高水位、川幅一覧表
河川名 地点名 河口からの距離(km) 計画高水位T.P.(m) 川幅(m)
湯日川 千草橋 4.64 +15.9 34.9
河口 0.0 +4.4※1 -

(注)T.P.:東京湾中等潮位
※ 計画津波水位

4.主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項

湯日川水系における河川の水利用として、農業用水として約370haの灌漑に利用されている。
流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関しては、流況等の河川における状況の把握を行い、流水の占用、動植物の生息・生育・繁殖地の状況、景観等の観点からの調査検討を踏まえて設定するものとする。

 湯日川水系図
(出典:湯日川水系基本方針本文(案))

湯日川水系図.pdf/535KB/